この機を逸せず『新緝 森信三全集』をお求め下さい
このたび致知出版社が、雑誌『致知』創刊三十五周年記念事業として、絶版久しく、入手困難となっていた『森信三全集』(続篇全八巻)を、「新緝」として復刊することになりました。
私たちは、この二度とない人生の中で、森信三先生という世に稀な哲人にご縁をいただき、先生が創開された一般社団法人「実践人の家」の会員・道友として、森教学の普及を中心に、全国的な活動を進めております。
しかし、森先生の著作本は、なかなか手に入らず、私も旧全集(全二十五巻)を求めるため、数軒の古書店にお願いし、やっと購入できたことを思い出します。
森先生は、京都大学・大学院で西田幾多郎門下生として哲学を学びましたが、いわゆるアカデミーの世界に入らず、在野の道を歩まれました。従来のアカデミーの世界では、いのちあるものをにしてしまい、「人々が真に生きんがための根本原理ないしは力源とはならない」と考えられたからです。
だから、ご自分の脳髄と血肉を通して消化し、納得したものしか書かないことを信条とされ、『全集』(二十五巻)、『選集』(八巻)、『著作集』(十巻)、『続全集』(八巻)も、全て自家出版を貫き、予約販売に徹したため、世に出回ることはありませんでした。
大手の出版社でも、『全集』ものは、社運を賭けると言われる程、難しいのに、森先生の場合は、予約で完売いたしました。
これも、森先生が身をもって、全国津々浦々まで教育講演行脚を続けられ、そのご縁で先生を敬慕する人々が、先生の出版事業を支持して下さったからです。
森先生は悲願であった『全集』(二十五巻)を出版できた慶びのあと、奥様を亡くし、また自家出版の費用面を陰から全支援してくれたご長男が急逝されるなど、人生上最深刻な悲劇に遭われました。
しかし、その悲嘆の底から立ち上がられ、私たち日本民族が今後進むべき道しるべとなる、日本人としてのいのちに内在している世界観構造と人生観構造が一つに融合した「全一学五部作」を、まるで遺書のように残して下さいました。
今まで入手困難だった貴重な「幻の全集」が目の前に復刊されるこの好機を逸せず、ぜひお求めくださることを切にお願い申し上げます。
平成二十五年四月吉日
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