森信三の世界:社団法人実践人の家
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埼玉地区研修会 「実践人」埼玉北部研修会

                        林 芳和

 

 研修会の起こり

() 読書会発足以前

 昭和四十年代の初めに、私たちの教育実践に新しい活力を得たいという思いで、教育実践家や、それぞれの分野ですぐれた業績を残している方を招いて、研修会を開いてきた。

 森信三先生や東井義雄先生には、とりわけ何度も来て頂いたが、他にも八ッ塚実、安積得也、福井達雨、石森延男、戸田唯己、小西健二郎、滑川道夫氏などにも来て頂いた。会場でお話を聞かせてもらうことも有益であったが、その後の講師を囲む会で、更に直接、具体的な対話を重ねることで、貴重な示唆を得ることも多く、講師をより身近に感じ、実践へのエネルギーとして、得難い役割を果たしてくれた。

 

() 不尽読書会の発足

 このような雰囲気の中で昭和五十三年、本庄市に不尽読書会が結成された。その原動力となったのは、山下武彦氏と木村和夫氏で、両氏のなみなみならぬ熱意から生まれたと言っても過言ではない。

毎月一回、二時間程度の読書会であったが、会の最初に近況報告や今課題となっていることなど話し合い、感銘を受けた実践記録や図書などの紹介のあと、輪読に入っていく。その後、各自から感想や疑問などを出してもらう形で進めてきた。

 この読書会は翌五十四年には、「詩の生まれる日」の著者として知られている大野英子氏を招いて、又五十七年には国語教育のすぐれた実践家、川崎資朗氏を招いて公開研修会を開いた。両氏はいずれも地域の代表的実践人ともいうべき方で、大野英子氏は生活綴方教育で知られた荒井不二男氏に深く傾倒し、川崎資朗氏は芦田恵之助先生の授業実践に深い関心を持っていられた。

 不尽読書会はかっての教え子や「実践人」の縁につながる十名程で出発した。会員は全員教師たちで、テキストはできるだけ実践に直結するものということで、「理想の小学教師像」、「理想の中学教師像」から始めて、「修身教授録」、「講演集二」、「幻の講話」、「教育者の生涯」など森先生の著書を読み続けてきた。

 

() 読書会の広がり

 不尽読書会の活動や公開研修会等は、他の学校の心ある教師たちからも、次第に関心を持たれるようになり、昭和五十八年には、本庄市立旭小学校の有志による紫陽花読書会が始まった。この会の代表は樋口恵二氏で、発足当初からその任を引き受けてくれ、今日に至っている。その後、この地域では続いていくつかの読書会が生まれてきた。その殆どは小・中学校の教師たちで結成された。

 昭和六十一年には深谷市で、小学校教師たちによる深谷読書会(代表・河田重三氏)、中学校教師たちで花水木読書会(代表・伊藤修氏)が誕生し、昭和六十三年には本庄市に三十代の教師たちで三悦読書会(代表・木村政雄氏)、平成元年には熊谷市にくまがい草読書会(代表・橋本実氏)平成二年本庄市に若い女教師たちで、たんぽぽ読書会(代表・間正美恵氏)が誕生した。

 このうち「深谷」「花水木」「くまがい草」読書会は、統合して現在に至っている。また、読書会の尽力で、神川町に母親たちで、すみれの会(代表・須藤栄子氏)、美里町にあしたば読書会(代表・吉橋八重子氏)、九輪草読書会(代表・平岡和子氏)なども生まれてきた、これらの読書会が、「実践人」埼玉北部研修会を立ち上げていく土台の役割を果たしてくれている。

 

(2) 実践人」埼玉北部研修会

 講師を囲んでの公開研修会を読書会員だけでなく、心ある方たちにも広く参加してもらえたらという思いと、森先生が病床に伏せられ、全国各地でブロック研修会を発足させたいという「実践人の家」の要請も重なって、埼玉北部研修会は始まった。

 第一回研修会のメイン講師には、川口市の村上政三先生に「この畏敬すべきもの」と題してお話頂き、その後三分科会に分かれ笠原貞夫氏「心を育てる教育」、木村和夫氏「意欲を育てる教育」、大野文男氏「師を求めて」のテーマで提案をしてもらった。村上政三先生は昭和十四年「同志同行」誌上で「修身教授録」に出合い、同年末には豊橋市で森先生の講話を聴かれたという、埼玉県における「実践人」の先達として知られている。

 研修会への参加者の八割は小・中学校の教師たちで、毎回百人前後の人々が参加している。この研修会では発足以来今日まで毎回、図書の紹介と無人販売を実施してきた。書店では入手しにくい「実践人」関係の図書や講師の著書などが中心で、昨年は三十五種類の図書の紹介と販売を行った。この研修会に参加する楽しみの一つに図書の購入を挙げる人も多い。

 平成十五年八月に埼玉北部研修会二十周年記念誌を刊行した。ここには五十余名の皆さんから、研修会に参加してきた感想が寄せられている。その一部を紹介したい。

 

☆この研修会に初めて参加したのは、教師になって四年目でした。職場の先輩に誘われ会場に行った時は、何気ない気持ちで参加しました。しかし、会場に集まっている人達の意職の高さ、また、講演される先生方の凄さ、素晴らしさを感じ取りました。まさに、自分の頭から指の先に電流が流れるような衝撃が走りました。自分が壁にぶつかり悩み苦しんでいるときに研修会の内容を思い出したり、会場で買った書籍を読みあさり、先人の方々の生き方、考え方を参考にさせてもらいました。そして、自分で考え、とにかく動かなければならないということを学びました。

☆昭和五十年代の後半から、研修会に参加させていただきました。参加すること自体が、大きな励みとなりました。勇気を頂ける本との出会いや木村先生、桜井先生の本の紹介も楽しみになりました。この研修会がきっかけとなり、昭和六十一年に数名の中学校の教員が集まり読書会がスタートしました。山下武彦先生も毎回参加下さり、「幻の講話」をじっくり読みました。

☆埼玉北部研修会に、これまで随分長くお世話になってまいりました。研修会が終わった時には、何か次の日からの生きる勇気を与えられたような気がしたものです。その実践に学んで、これまで続けさせていただいていることは、トイレ掃除、ゴミ拾い、そして、はきものを揃えることなどです。それぞれ、最初はすこし抵抗感があったものですが、続けているうちにそれもなくなりました。

 

(3) 終 り に

 「実践人」埼玉北部研修会記録は簡単なものではあるが、別にまとめた(次頁)。それにしてもこの地域でささやかな会を、二十年以上にわたって開いてくることができたのは、研修会を支えてきた読書会について、「末席にわたしがいると思っておやり下さい」とおっしゃった森先生のお言葉に励まされてのことである。それと共に毎年、県内外から同志を誘って参加して下さる道友の皆さんにも、心からお礼を申し上げたい。この会を立ち上げる上で、いつも献身的な努力を惜しまない各読書会の同志たちにも、感謝の気持でいっぱいである。





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